導かれる神⑮ 「道はどう開かれたか」 使徒の働き16:16‐34 

前回、パウロたちは新たな地域への宣教を願っていたが、行く先々で神によって道が閉ざされ、戸惑いの中、思ってみなかったヨーロッパ宣教へと導かれたことをみました。
ヨーロッパに渡ったパウロたちは、いつものようにユダヤ人のコミュニティーを探し、そこで福音を語りました。神の働きがルデヤにあり、心開かれた彼女は主イエスを救い主と信じ、自分の家に招き、家族も救われたのです。彼女の家は宣教の拠点として用いられ、ピリピでの伝道が始められました。宣教が始まって直ぐに問題が起こりますが、その問題は新しい道が開かれるための入り口となったのです。

1.占いの霊につかれた女

パウロたちが川岸に集まっている婦人たちの所へ向かっていると、占いの霊につかれた女奴隷が“この人たちは、いと高き神のしもべたちで、救いの道を宣べ伝えている人たちです”と叫び続けていたので、パウロはイエスの名によって占いの霊を追い出しました。占いで儲けていた主人たちは、虚偽の訴えでパウロたちを投獄したのです。
この出来事から私たちが学ぶべきことは、占いは当たるのです。彼女が叫んでいたことは間違いありませんでした。何故当たるかが大事なのです。聖書は、偽りの霊があると警告します。偽りの霊は、最初は良くても徐々に人々を不安に陥れ、最終的にその人を捕らえ、束縛するのです。一方、神の働きは人に平安と開放を与えます。「真理は私たちを自由にします」(ヨハネ8:32)。不安や恐怖による束縛か真理による自由か。

2.獄中のパウロとシラス

占いの霊が出てしまった女により、もうける手段を失った主人たちは、虚偽の訴えでパウロとシラスを投獄させました。見知らぬ地で鞭打たれ、投獄されこの先どうなるのか心配したと思われます。思わぬ事態に遭遇した時、どうしますか。
獄中にあってパウロとシラスは、“神に祈りつつ賛美の歌を歌った”のです。全てが閉ざされても、すべき事は神に目を向ける事です!困難な時、悩みの時は、神を見上げる時です。すべては神の御手の中にあると信じるかどうかです。パウロはどんな境遇にも対処する秘訣を心得ていると記しています(ピリピ:12,13)。獄中で、パウロとシラスが歌っていると囚人たちが聞き入り、看守も不思議に思ったことでしょう。その時、事が起こったのです。真夜中に大地震が起こり状況は一転しました。

3.救われた看守家族

この出来事を通してこそ、看守とその家族が救われたのです。逃げられるにもかかわらず留まった囚人たちに驚いた看守は、何故“救われるためには、何をしなければならないのか”と言ったのでしょうか。看守は、パウロとシラスの姿を見、普通でない彼らの行動、祈りや賛美に耳を傾けていたのです。神を信じる者の姿は、人々を驚かします。パウロは、私たちを強くしてくださる方によってできたのです。目の当たりにし、命拾いした看守は、時を移さずふたりを引き取り、介抱し、家族が主のことばを聞くチャンスを選んだのです。その結果、家族はそろって主イエスを信じ、心から共に喜んだのです。
神は、危機的な状況の中にも、確かな道を用意しておられます。